こんにちは、家庭菜園を運営している園長です。
「トンネルマルチをかぶせておけば夜も暖かそう」と思っていませんか?
実は、よくよく温度を測ってみると、時にはトンネルの中が外より寒くなっているケースがあるんです。
というのも、日中はトンネル内が暖まりやすい一方、夜になると放射冷却で外より冷える現象が起こりうるから。
多くの方はトンネル内の温度を細かく計測することは少ないので、「何となく温かいだろう」と思い込んでしまうかもしれません。
けれど、この事実を知っていると、冬の冷え込みから大切な苗をどうやって守るかが変わってきます。
この記事では、そんなトンネル資材と気温の関係、そして保温効果を高めるコツをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
目次[非表示]
1. なぜ夜のトンネル内が外より冷えるのか?
1-1. 放射冷却による冷え込み
冬の夜、晴天の日には地面やトンネルのフィルムが空に向かってどんどん熱を放出します(放射冷却)。
透明なビニールは、日中は太陽の光を通すけれど、夜間の地熱や作物の熱も外へ逃がしやすい性質があるため、ビニール表面が外気温より冷え、内部も冷気がこもりやすくなる場合があります。
1-2. 風の遮断による「冷気の溜まり込み」
トンネルを密閉すると、外の風と遮断されます。
一見すると保温に有利な気がしますが、実際には冷たい空気がトンネル内に蓄積し、外の空気より温かい空気を取り入れにくい状態になることがあります。
気象台の測定は地上1.2~1.5mの高さで行われるのに対し、家庭菜園のトンネルはさらに低い位置ですから、地表付近はより冷え込む傾向が強まります。
1-3. 土壌の蓄熱量と湿度
日中に地面に溜まった熱は、夜になって少しずつ放出されます。ところが、土が乾燥していたり、ビニールマルチなどで覆われていると熱の移動がうまくいかず、思ったほどトンネル内の空気が温まらないことも。逆に土壌水分が豊富で、昼間はしっかりと熱を蓄えてくれれば夜間の冷え込みが少し和らぐ効果があります。
1-4. 実際何度変わるのか
私の環境で測定しましょう。
神奈川県の山間部です。外気温は2月に関しては通常3度~10度、寒波が到来していた時は0度~8度といったところです。
注目は温度のエリアの赤線を引いた部分です。
朝方4時〜5時で毎日マイナスに行ってます。
つまり、ビニールトンネルの中と外では4度近く変わるということですね。

ちなみに、ご覧の通り日中は30度に届いていますから、日差しがある時の保温効果は凄まじいです。
2. 苗を守るための保温対策5選
では、どのように対策をするのかを見ていきましょう。
私は電熱温床を使っているので土が20度に保たれているのと、不織布をしようしています。
不織布はこちらの記事でも紹介しているものです。
安いので一本は持っておくと家庭菜園が捗ります。
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参考
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2-1. 二重トンネル&不織布の活用
保温効果をアップするなら、やはり二重トンネルや内張りに不織布を使うのが手早い方法です。
- 透明ビニールの上から不織布をかける、あるいはビニールの内側に不織布をかける
- 2層構造で風を遮断しつつ、放射冷却も抑えやすい
寒波の予報が出ているときは特に有効なので、ぜひ試してみてください。
2-2. 土を適度に湿らせる
土は水を含むほど熱を蓄えて夜間に放出しやすくなります。
- 夕方~夜間に水をやると冷えを招くので、午前~日中に潅水する
- 過度な水やりは根腐れや病害を招くため、状況を見ながら適量を
※土壌の湿度がある程度確保されていると、夜の急激な温度低下がやや緩和されます。
2-3. 適切な高さとスキマ管理
トンネルが高すぎると内部の空気量が増えて、暖まるのに時間がかかる上、夜間の冷え込みも大きくなります。
とはいえ低すぎるトンネルは作物を押しつぶす恐れがあります。
- 栽培中の作物が伸びる高さを考慮しながら、できるだけコンパクトなスペースにする
- 夜は裾をしっかり土で押さえて隙間風を防ぐ
- 朝の日差しが強くなる前に少しずつ換気する(過剰な高温を防ぐ)
2-4. 夕方のうちに密閉して熱を逃さない
日中に十分温まった土や空気を生かすため、夕方~夜にかけて早めにトンネルを閉じて熱をキープします。
- 夕方、まだ外気が冷え切る前にビニールや不織布をしっかり覆う
- 夜間は極力開閉しないで冷気を入れない
2-5. ホットキャップなどスポット保温
大切に育てたい苗があるなら、トンネルの中でもさらにホットキャップやポットカバーを使って局所的に保温します。
面倒なようでも、これで苗へのダメージがかなり軽減されるケースも多いです。
3. まとめ
「トンネルは夜でも暖かいはず」という思い込みは、実際に温度を測っていないと気づきにくい落とし穴かもしれません。
放射冷却や風の遮断などの影響で、むしろ外より冷え込んでいるケースもあるのです。
そこで大事なのが、保温効果を高める工夫。
二重化や不織布の活用、土壌の適度な湿り気、トンネルサイズの調整、夕方の早めの密閉など、いくつかポイントを押さえると寒さの厳しい季節でも苗を守りやすくなります。
この冬はトンネルの中にも温度計を仕掛けて、実際のデータを見ながら対策を練ってみてはいかがでしょうか。
きっと「思ったほど暖かくない!」「少し工夫したらこんなに違う!」といった発見があるはずです。
大切な苗を元気に育てて、来春の収穫を楽しみにしましょう!
皆さんの家庭菜園がより豊かになり、心も体も暖かくなるような栽培ライフをお祈りしています。
ぜひ今回の記事を参考に、トンネル栽培の上手な活用にチャレンジしてみてください。