雨続きだけどジャガイモの芽かきはしていい?

じゃがいもを家庭菜園で育てていると、「そろそろ芽かきの時期なのに雨が続いてしまって作業できない…」なんてことがありますよね。

芽かきは大きなイモを収穫するために欠かせない作業ですが、雨天時に行うと病気リスクが高まったり土が扱いにくかったりと心配も多いもの。
そこで今回は、雨の日の芽かきにおけるメリット・デメリットや、品種の特徴を踏まえた判断基準を整理し、芽かき後の追肥・農薬についてもまとめました。


1. 品種ごとによる芽かきのタイミングの違い

  • キタアカリ
    早生品種で発芽・生育が早い傾向があります。芽かきのタイミングも他品種より早く、植え付け後2〜3週間ほどで芽が10〜15cmに達する場合が多いです。芽数が多いと小ぶりのイモが増えがちなので、しっかり芽かきすることで大きめのイモを育てやすくなります。
  • メークイン
    中生〜晩生品種で、キタアカリより発芽がやや遅めです。ただし芽かきの基準(芽が10〜15cm程度に育ったら)はキタアカリとほぼ同じ。長細い形になる品種なので、極端に芽数を減らしすぎると収量が落ちることも。2〜3本に絞るのが一般的です。

ポイント:
どちらの品種も「芽が10〜15cmに伸びたら実行」が基本。キタアカリはやや早めに動き始め、メークインは少し遅れがちですが、適期を見逃さないようこまめに畑をチェックしましょう。


2. 雨の日に芽かきをするデメリット

  1. 病気のリスクが高まる
    芽を折り取った切り口から軟腐病などの病原菌が入りやすくなります。特に雨の日は傷口が乾きにくく、湿度が高いので要注意。
  2. 作業性が悪い
    土がぬかるんでいると足を取られ、株元を傷めたり余計なストレスを与えてしまうことがあります。手足や道具も泥だらけになり、芽かきしようとして種イモごと動かしてしまう事故も起こりがち。
  3. 畝や土壌へのダメージ
    雨で柔らかい土を踏み固めてしまうと、通気性や排水性が悪くなります。成長途中のジャガイモにとっても好ましくありません。

3. 芽かきが遅れるデメリット

  • イモが小さくなりやすい
    芽数が多いまま育つと地下茎に栄養が分散し、一つひとつのイモが小粒になりがちです。キタアカリは特に芽数が多いと小さなイモがゴロゴロできてしまう傾向があります。
  • 株が過剰に茂る
    茎葉が込み合うと風通しが悪くなり、病害虫の温床に。土寄せもしにくくなり、イモが土からはみ出して日光を浴びて緑化(ソラニン蓄積)するリスクも高まります。
  • 後手になるほどデメリットが増す
    芽が30cm以上に伸びた状態での芽かきは、株自体に大きな負担がかかります。すでに小イモが形成されはじめていることもあり、下手に折るとイモが傷む可能性もあります。

4. 雨の日でも芽かきができる条件

  1. ごく軽い小雨・霧雨程度
    本降りの雨や長時間の雨ではなく、短い小雨ならば土が泥状になりにくく作業リスクが軽減します。
  2. 畝立てが高く水はけが良い
    水たまりにならず、切り口に水が溜まる恐れが少ない畑なら、雨天時の芽かきでも比較的安全。
  3. 土がドロドロでない
    触ってみて手にべったり付くようであれば作業は中止。表面が湿っている程度で、下が固まりすぎない状態ならまだ可能。
  4. 芽かき後のケアをしっかりできる
    芽かき直後に土寄せや追肥を行い、傷口を土で保護してあげると病気にかかりにくくなります。

5. 雨でもリスクを覚悟で芽かきをしたほうがいい条件

  • 芽が伸びすぎている(適期を大幅に過ぎた)
    10〜15cmの理想を超えて20cm以上に伸びてしまっているなら、さらに遅らせるより雨天決行が有効。
    放置するとイモが小さいまま数だけ増えたり、病気リスクも高まります。
  • 長雨が続き、しばらく好天が望めない
    数日〜1週間以上晴れ間が期待できない場合は、少雨のタイミングを狙って作業をしてしまうのも手。
    梅雨時期などは特に割り切りが大事です。
  • 病気や腐敗の兆候がある
    一部の芽が変色・腐りかけなど、明らかな異常が出ている場合は急いで取り除きましょう。
    放置すると他の芽や株にも被害が広がる可能性があります。
  • 茎数が多すぎて倒伏しそう
    芽が5〜6本以上も伸びて株が傾きかけているなら、リスク覚悟で間引いたほうが風雨や倒伏ダメージが減り、結果的に株を守れます。

6. 芽かき後の農薬や肥料使用について

追肥と土寄せ

  • 芽かき後は肥大が始まる重要な時期。1回目の追肥を行い、株元に土を寄せてイモが日光に当たらないようにしましょう。化成肥料を一株あたり軽く一握り、土と混ぜてから土寄せすると効果的です。
  • チッ素過多になりすぎると葉ばかり茂るので、適量を守りましょう。

病害虫予防

  • 梅雨前に殺菌剤や殺虫剤を予防的に散布するのも一案。雨の日には薬剤が流れやすいので、できるだけ晴れ間や風の弱い日に行いましょう。
  • 無農薬を目指すなら、土寄せをこまめに行う、枯れ葉や病気の芽はすぐ除去するなどの対策で乗り切ることが可能です。
  • 薬剤を使う場合は、必ず希釈倍率や収穫前日数などの使用基準を守るのが大切です。

まとめ

雨天時の芽かきはリスクがありますが、だからといってずっと先延ばしにすると小さなイモばかりになったり、病気リスクがより大きくなる場合もあります。小雨や土が泥状でなければ作業を進める判断も必要ですし、どうしても伸びすぎた場合は雨の合間を狙って実行してしまいましょう。芽かき後は追肥と土寄せをセットで行い、必要に応じて病害虫対策をすることで、ぐんと収量と品質が上がります。
旬の時期にはたっぷり食卓に並べられるように、うまくタイミングを見計らって作業を進めてみてください!

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